足助の町並の特徴

街道沿いに平入(ひらいり)と妻入(つまいり)の両形式の町家が混在した変化のある 町並景観は、足助の町並の特徴です。

 

平入・妻入の混在

敷地の規模や形状の関係から、間口が5間以下で敷地の奥行きが深い場合に妻入形式となる傾向が見られます。また、商業地としての需要が高まる中で、土蔵などを居宅や店舗に転用したとみられるものもあります。足助の町家は、2階部分のたちが高い平入2階建て形式が主流で、白漆喰で仕上げられた外壁とあいまって、重厚な景観をつくり出しています。

土蔵を店舗に転用

(マンリン書店)

 

切妻(きりづま)屋根:開いた本を伏せたような山形の屋根。

 屋根の棟と平行な面を平(ひら)、直行する面を妻(つま)という。

 

 綴葺(しころぶ)き形式の主屋

 上屋根と下屋根にわずかに段差をつけた錣葺き形式の軒高の低い主屋が残されています。これらは安永4年(1775)の大火前の建物形式を伝える可能性が高いと考えられます。

川沿いの石垣・石組階段と家並

 足助川沿いでは、幕末から近代にかけて川岸に石垣を築き、川に張り出すように座敷などが建てられました。石組階段とともに、川との繋がりを映した景観をつくり出しています。

街道脇の小路(マンリン小路、エビヤ小路、地蔵小路など)

敷地境界いっぱいに土蔵や石垣が迫るように建ち、通りの向 こうには山々を望む街道脇の小路、街道沿いとは異なる通り空間を形成しています。漆喰塗籠(ぬりごめ)の壁や下見板の仕上げに歴史が 感じられます。

足助の町家建築の特徴

街道沿いには主屋が建ち、ミセを構える町家が多く建ち並びます。安永4年(1775)の大火後に復興された町並は、防火対策として2階部分を漆喰で塗籠(ぬりご)めています。雨がかかりやすい壁面下部は下見板を張るか、なまこ壁にするなどの工夫が施されています。屋根は防火を意識した瓦葺きが普及し、比較的急な屋根勾配になっています。1階には庇を設け、蔀戸(しとみど)の痕跡を残す家が多く、商家町の特徴を示しています。

 

敷地利用と家並の特徴

足助の町並は、南北を山で挟まれた足助川の谷筋に沿う段丘上に広がっています。街道沿いでは、短冊状の敷地に主屋を間口いっぱいに建て、その背後に離れ座敷や土蔵などが密に配置されています。限られた敷地に用地を確保するために、建物は 切土や盛土による造成地や幾段にも築かれた石垣の上に建てられ、特徴的な景観をつくり出しています。

 

シタヤ

新町から田町にかけての川側の敷地は、屋敷尻(川沿い)で崖地に近い高低差があり、階下に物置(シタヤ)を設けた実質3階建ての居宅が数多くあります。街道より山側についても、 屋敷地の奥行きが深い本町を中心に、屋敷背面の地面と街道側の地面に高低差ができる敷地があり、山側に建つ付属屋で同様なシタヤが設けられています。

 

※「重伝建「足助の町並み」を活用した学習ガイドブック」(豊田市教育委員会 教育行政部 文化財課足助分室発行)より